体験案内
合格実績
ブログ

ブログ

Blog

ソレイユニュース 2022年9月号

pic

築54年の建物の修理が完了し安堵していたら、あちらこちらのボロが気になり始めました。

 

皆様からご指摘いただいていた3階の待合室に置いてあるDIAPASONのピアノ、知らぬ間に鍵盤の表面が2箇所剥がされていて、そのみすぼらしさといったら❗この惨状を見るにみかねてご自宅のピアノを寄付してくださるという方も現れたりしたので、修理できる方を探し、この度、見事に修復させることができました。

 

この年代物のアップライトピアノ、よくよく思い出してみると、私のために母が初めて購入してくれた思い出あるピアノで、母のこだわりで鍵盤には象牙が貼ってあります。

 

50年弾かれてきた象牙だからでしょう、中央部を中心に黄色見掛かった変色がみられ、剥がされた鍵盤は丁度中央部ということもあり、古色蒼然とした同色の鍵盤など売ってはいないでしょうし、復活は不可能、と思っていました。

 

しかし、素晴らしいアイデアと技術を持った方が世の中にはいらっしゃるもので、修理したことが全く分からないくらいのレベルで修復されてしまったのです❗

 

修復してくださった方が仰有るには、古いピアノを引き取る際、貴重なパーツ、例えば鍵盤などを剥がして保管しておくのだそうで、年代物の様々に変色した象牙の鍵盤コレクションを見せてくれました。

 

残っている他の鍵盤の色と揃え、見事な技術で回復。ピアノに関しては直せないことはないのではないか、という程、その技術力の高さには定評がある方ですが、古い象牙の鍵盤の修理は完璧といえるレベルです。

 

直してくださった方は、STEINWAYの修復、調整、販売をされていて、昨年ラフマニノフのニューヨークの自宅に置いてあったピアノを修復され話題となりました。

 

この方は、伝説のピアニスト、ホロヴイッツが初来日の際にニューヨークから運んできたSTEINWAYや、ホロヴイッツが赤坂プリンスホテルのスイートルームに宿泊した際に部屋置きされていたホロヴイッツ絶賛のSTEINWAY(かつてカーネギーホールで名ピアニストたちにより演奏された名器)などを引き取り、ホロヴイッツ専属だったフランツ・モア氏直伝の調律技術で、19世紀や20世紀初頭に誕生したSTEINWAYを復活させている人物です。

 

古いSTEINWAY修復に関しては世界的に右に出る者はいない方ですが、文筆家でもあり、『音楽の友』の連載を長く続けられたりして、著作も多い才人。フランツ・モアに調律法を教えてもらえるようになるまでの熱心なモア氏へのアプローチ、様々なアイデアを生み出してきた経緯、また、ピアノを再生させるための研究や取り組みなど、この方の著作では、ご自身の人生そのものがストーリーとして楽しめます。

 

『調律師、至高の音を作る』、『今のピアノてはショパンは弾けない』、『スタインウェイ戦争』etc.、著者はタカギクラヴィア代表、高木裕氏です。

 

しばらく懸念材料だったソレイユのDIAPASONが直って気分爽快。すっかり綺麗になったDIAPASONを見て感激し、高木氏相手に大騒ぎしてしまった私でした❗

menu