ソレイユニュース 2019年5月号
30年続いた平成が終わり、5月1日、新元号令和が始まりました。
4月30日、「退位礼精殿の儀」ほか退位関連の儀式を終えられ御代替わりをされた上皇陛下と上皇后陛下は、これまでのご公務から解放され、今後は、静かに余生を送られます。
一昨年、オペラシティタケミツメモリアルボールで開催されたアルゲリッチ音楽祭において、チュン・ミュン・フンが指揮をし、アルゲリッチがプロコフィエフのピアノコンチェルト第3番を演奏するコンサートがあり、美智子皇后陛下(当時)が来場されました。
皇后陛下は、そのコンチェルト1曲だけを聴きに来場されたのですが、休憩時間に会場にお出ましになると、会場中の人々が起立し、2階最前列にいらした皇后陛下に向き直り拍手。陛下は笑顔でお手を振られていましたが、その拍手が全く鳴り止みません。誰も拍手の手を止めようとしませんでした。
その演奏会は、天皇陛下がご退位の意思を表明された後でしたから、人々の皇后陛下への感謝と敬愛の思いが伝わり、胸が熱くなりました。その日は、中々聴くことができないアルゲリッチのコンチェルトを楽しみに馳せ参じたのでしてが、その目的よりも、皇后陛下への長い長い拍手の方が印象に残るコンサートとなりました。
上皇后陛下がピアノを弾かれることは有名です。ハープも嗜まれます。草津音楽祭では、器楽や声楽の世界的なプロの演奏家たちとアンサンブルを楽しまれるご様子が盛んにメディアでも報道されています。
上皇陛下はチェロ奏者です。
愛子内親王もチェロを弾かれます。学習院の管弦楽部の一員として演奏されていらっしゃいます。
今上天皇陛下は、言わずと知れたヴィオラ奏者です。女優の中谷美紀氏がウィーンフィルのドイツ人ヴィオラ奏者と結婚したことでヴィオラが注目されましたが、メロディ楽器であるヴァイオリンと、低音で目立つチェロ、コントラバスの狭間で、どうしても縁の下の力持ち的存在になってしまう影の薄いヴィオラ(すみません💦)。今年からは天皇陛下の楽器、ということで一気に注目度UPです❗晴れてヴィオラの時代到来❗といったところでしょうか。今春、藝大に入学したヴィオラ専攻の新井瑞穂さんも、脚光を浴びている楽器、ヴィオラを、益々頑張ってほしいものです。
クラシック音楽を深く愛される天皇陛下ですが、ご多忙のご公務の中、これからも音楽会にお出かけになり、ヴィオラを演奏される時間を持たれますことを願わずにはいられません。
令しく(うるわしく)平和に、と名付けられた令和の時代が、平成以上に平和であるように(戦争は勿論、災害もないことを)祈るばかりです。
*写真は、2019年5月に開催された花と器の展覧会の美しい作品