ソレイユニュース 2020年9月号
8月に入っても雨ばかり、という長い長い梅雨が終わりました。一時的に猛暑になってはいるものの、庭には赤とんぼが。
もう秋が近くまできている気配です。
夏のピアノコンクールの雄、規模の大きさから他に類を見ないピティナコンペティション、今年はコロナの関係で、特級・Pre特級・G級のみ会場審査が行われました。
審査は、審査員以外非公開のため、特級では第2次予選からライブ配信され、コンクールの模様を鑑賞することができました。
ピティナ特級は、予選だけでも4回あり、更にオーケストラと協奏曲を弾く本選を加えると、5段階の審査があります。
各コンチェルタントへのインタビューが予選ごとに配信されるなど、イベントとして大がかりに脚色されます。
今年は海外のコンクールや音楽祭、セミナーなどが中止もしくは延期になってしまったため、代わりにピティナを受ける人が増え、特級はとても高レベルでした。
普段ライブ配信でコンクールを聴いているときには、この人上手い、あの曲素敵!という言葉が飛び交い、上手、下手だけを聴き分けがちですが、今回は、コンチェルタントたちが音楽への思いを爆発させているのが強く感じられたこと、オーケストラの方々が、心から楽しそうに演奏していることに心打たれたコンクールとなりました。
オーケストラの方々にとって音楽を演奏することは職業の訳ですが、生業のための苦役ではなく、彼らの仕事は、喜びなのだということがひしひしと伝わってきました。
オーケストラの一員になり音楽が日常だったはずなのに、今回のコロナ禍。演奏できない状況に置かれてはじめて、演奏できる素晴らしさを心の底から確認できたに違いありません。音楽を職業にする、ということは大きな喜びと共に生きることなのだ、ということを再認識する機会になっのではないでしょうか。
長かった自粛期間を経て、芸術を愛する人たちが鳥籠から放たれます。
これまで以上に生命力に溢れた素晴らしい演奏が世界に満ちることでしょう。