ソレイユニュース 2021年12月号
大学を卒業して以来、久し振りに大学時代の同級生と再会しました。
シャンソン・ジャズ界で活躍している米田まりさんです。
彼女とは、同門・同学年でとても気が合って、どこに行くのも一緒、という数年を過ごしました。
高校時代にピアノ科を目指していたまりさんは、ピアノもとても上手な上、横浜のトップ高校出身ということもあり頭も良く、どんなところにも面白いことを発見してしまうユーモアの持ち主なため、一緒にいて教えられること、感心してしまうこと、そして愉快なことがいっぱいの才人でした(きっと今もそうだと思う)。
まりさんとの思い出は沢山あります。この欄でも何回も登場したヴォイストレーナーの先生に彼女も師事していたので、足腰を鍛えるため、先生お奨めのスキー、登山を一緒にしたり、腹筋の活性化(?)を目指し、海でお腹を焼いたりと、要は一緒に遊びまくっていたのでした(本人たちは歌の上達のため、と至って真面目だってのですが、周りの人から見ると、遊びまくっているとしか見えなかったでしょう)。
練習ばかりしていた大学生活を彩り豊かにしてくれたのは、この野外活動のお蔭です。
登山では、関東近郊のハイキングコース、例えば高尾山、白馬山、奥日光などを巡りました。カルデラに乱れ咲く高山植物の美しさや山頂から眺める景色、そして透き通る小川に湧く清冽な湧水の輝きは、今でも私の目の奥に宝物のように残っています。ロープウェイで登り切った山頂に立ち、キリリと冷たく澄んだ空気を吸いながら四方八方の雪景色に心を打たれたスキーも、先生の薦めとまりさんがいなければできなかった経験でした。
大学3年生の時、クラスの恒例となっていたフランスのポアティエで開催された夏期音楽セミナーに一緒に行ったのも良い思い出です(世界史に出てくる、トゥール・ポアティエの戦いのポアティエです❗)。
作曲家で藝大教授だった池内友次郎先生が率いる一団は、パリ・コンセルヴァトワール教授陣が教える様々なクラス(ソルフェージュ・声楽・ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ・ハープ・ピアノ・作曲etc.)で、3週間レッスンを受けるという贅沢な日々を送りました。
その頃、ソビエトの上空を通過することができなかったため、アメリカのアンカレッジ経由で18時間掛けてパリに到着、フランスは遠い国でした。
講習の後、イタリア、フランスを1週間掛けて鉄道で旅行、フィレンツェでビステッカ・フィオレンティーナのフルコース(前菜・スパゲッティ・750gのステーキ・デザート)を2軒梯子したのも良い思い出です。
大学卒業後、まりさんはポピュラーの世界に飛び込み、シャンソンとジャズを中心にステージで歌ったり作曲したり等、活躍してきました。
テレビ朝日の『題名のない音楽会』に、シャンソンの大御所 石井好子氏と一緒に出演していたことがあり、感激したことがあります。
先日ステージを見に行った時にも、学生の頃とは全く違う雰囲気と歌い方で、素敵な“まりワールド”を展開していました。
数ヶ所の読売カルチャーセンターでもシャンソンのクラスを受け持っていて、生徒さんがいっぱいだそうです。
同級生が活躍するのは嬉しいものです。
まりさんから、「川島くんも頑張っているわよ」と、思いがけない名前をき聞くことができました。
川島 豊君は、ソレイユ総合音楽教室の卒業生で、東京藝大声楽科(テノール)出身、現在シャンソン歌手として活躍しています。
川島君の話題が出たとき、「彼は日本のシャンソン界の宝なのよ」と仰有る方がいて、川島君の先生である私は、日本のシャンソン界に大いに貢献している❗と、褒められました。
生徒さんが頑張っているのも嬉しいものです。
好きなことを仕事にして立派に生きているお二人の近況を知ることができ、心温まるひとときを過ごせた楽しい11月のお話でした。