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ソレイユニュース 2022年12月号

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昨年から今年にかけて東京で行われた、所謂、“巨匠”と呼ばれているピアニストたちのリサイタルに何回か出掛けました。

 

巨匠の演奏は、全てをppからpでまとめた特異なスタイルのもの(その上、全てのプログラムを、別日と間違えて演奏するというオマケつき‼️)、元気や迫力に欠けるものなど、コンクールで入賞したばかりの若いピアニストたちと比べると、魅力に乏しい演奏が続きました。一生弾けるとはいえ、ピアニストは年を取るとあのように衰えてしまうのか…、ビックネームだけに、失望感は大きいものでした。

 

そんな中、11月8日(火)浜離宮朝日ホールで開催されたミシェル・ダルベルト氏のピアノリサイタルに行って来ました。

 

数年前、知人に誘われて初めて聴きに行った時は、やはり浜離宮朝日ホールでしたが、フォーレのノクターンが素晴らしく、下手なピアノを聴くと眠くなる(基本的にいつでも眠いのですが…)私の眠気が吹き飛びました❗

 

その後、来日の折りには必ず聴きに行くようにし、コロナ前の2020年、王子ホールで行われたリサイタルでは、ドビュッシーの前奏曲集(1巻・2巻)全曲を堪能しました。

 

フォーレのピアノ曲は演奏されることが少ないですが、ダルベルト氏にかかると、歌曲のようにピアノが歌い出します。

 

ドビュッシーのピアノ作品は、誰の演奏を聴いても歌曲の美しさには敵わない、と思っていたのに、様々な音色で奏でられるダルベルト氏のドビュッシーは歌曲以上で、その美しいことといったらありません。

 

NHKの番組『スーパーピアノレッスン』に出演していたからでしょうか(私は丁度留学中だったので、番組自体を知りません)、CD購入後のサイン会も長蛇の列。その人気ぶりが伺えます。

 

カラヤンに似た風貌で、ブルーを基調にしたファッションセンスも抜群。

 

クララ・ハスキル国際ピアノコンクール、リーズ国際ピアノコンクールの覇者でもあるのですが、8日の演奏は、そのまま今年のコンクールにエントリーしても間違いなく優勝する高水準の演奏で、特にモーツァルトが秀逸でした。

 

今回のモーツァルトの幻想曲とロンドは、モーツァルトの曲ってこんな幅広い表現が可能なのだ❗と目から鱗が落ちる斬新な音楽表現と音色の応酬に圧倒されました。

 

音色の多彩さ、強弱の幅広さ、ミスタッチのなさ、表現の深さなど、どこを取っても完成度の高い演奏で、毎回感動の嵐です。

 

パリ国立コンセルヴァトワール教授を昨年終え、現在はイタリアの音楽学校や、世界各地のアカデミーで教えていらっしゃるとのこと。

 

ショパン直系の弟子であるペルルミューテル氏に師事した1955年生まれの67歳。青年のような情熱な音楽を奏でるピアニストの再来日が待たれます。

 

芸術の秋に相応しく、香り高い素晴らしいコンサートでした❗

 

 

 

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