ソレイユニュース 2025年8月号
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梅雨明けしてから全く雨が降らない暑い日が続いています。涼を呼ぶ爽やかな夕立の到来が待ち望まれますね。
昨年9月、パリ国立高等音楽院第2課程(大学院修士)に留学した鴨川孟平君が、夏休み休暇で帰ってきました。入学前、ビザや保険、入学手続きに必要な書類を揃えたり、入寮の申請に手こずったりと色々大変なようでしたが、1つ1つクリアして、寮にも無事入ることができ、寮の部屋にグランドピアノも入れ、パリでの生活がスタート。
寮の部屋にはトイレ、シャワー、キッチンもあり、プライベートが完全に保てる住空間。フランスの豊富な食材を入手して基本的には自炊、スープを作り置きしたりお米を炊いたりして過ごしたようです。
音楽院で食べられる学食は前菜、メイン、デザートがついて3.5ユーロ(550円❗)、流石、美食の国フランス、学食にも手を抜きません。前菜としてサラダバー、豚肉のパテ・ピクルス添えから1品チョイス、メインは、白身魚のムニエル、牛肉のハンバーグ、ソーセージ、レンズ豆のカレーなどから1品チョイス、付け合わせは、インゲンのソテー、人参のグラッセ、じゃがいものソテー、大麦を炊いたものから好きなだけ、デザートはチョコレートケーキ、フロマージュブラン、パンナコッタ、果物などから1品チョイスという豪華版❗
音楽院には藝高藝大時代の先輩後輩が何人もいて、情報をもらったり、はじめの頃は学部から在籍しているフランス育ちの友人に通訳してもらったりと、友人たちには随分助けられたようです。
年末年始の、パリが最も華やかで美しい時期、日本に帰らない友人たちと友人の下宿先のマダムのご招待で生牡蠣パーティーをし、1人24個の生牡蠣を食べたり、モンマルトルのサクレクール寺院(高台にあり、パリが一望できる)に登り、初日の出を見たり(元旦に初日の出を拝むのは日本独特の風習のようで、日本人で溢れていたそうです❗)楽しい年末を過ごすことができたのは有難いことてした。
音楽院第2課程では、専攻のレッスンの他、修士論文指導、フランス語、指導法等の授業が組まれています。2年後の修士修了の際には、フランス語で論文を提出しなければならず、授業は真剣勝負。
第2課程におけるフランス語の単位取得レベルは高く、実技の入学試験を2月に終えた後、入学までにTFC(フランス語能力試験)のB1取得が義務付けられています。入学後3カ月以内にB2取得(仏語検定準1級レベル)がノルマ。数年前までは緩かったようですが、近年は厳格になり、期間内に合格しなかったらその年の単位は全て無効、そして休学処分、という通達が届きました。先輩たちから、規約の緩さを伝聞されていて、気楽に構えていた彼らの焦る様子が目に見えるようです。ギリギリの期限でB2に無事合格し、溜飲を下げたようでした。
パリ国立音楽院の素晴らしいところは、レッスンの充実が上げられます。教授と准教授それぞれの専攻レッスンが各週1回(各1時間)。フォルテピアノ等の副科やダンスなどのクラスも充実しています。フローレン・ボファール教授は、ブーレーズが創設したアンサンブル・アルテルコンタンポランのメンバーで、ブーレーズと長年一緒に演奏してきた現代音楽の第一人者です。パロック・古典にも精通していて、人柄も穏やかな紳士。学生の定期的な発表にも熱心で、そのお蔭もあり大変充実した毎日が過ごせている様子。本当に有難いことです。
パリはエンターティメントの坩堝なため、国際級のオペラやコンサートが毎晩のように上演されています。バスティーユのオペラ劇場、シャンゼリゼ劇場、サル・ガヴォーなどで素晴らし演奏を聴くことができたようです。パリ国立高等音楽院の敷地内にパリフィルハーモニーオーケストラの拠点でもあるフィルハーモニー・ド・パリが併設されているため、学校からも寮からも3分でコンサートホールに行ける環境は、羨ましい限りです。飛行機嫌いなため日本には絶対やってこないピアニスト、ソコロフ氏や、著名なオペラ歌手に与えられるヴィクトワール・ドゥ・ラ・ミュージック・クラシックを受賞したソプラノ歌手サビーヌ・ドゥヴィエイユのコンサート、マスネ作曲『マノン』や『薔薇の騎士』などのオペラを鑑賞し、音楽で溢れた生活が送れている様子。
1年間の成果を皆様に聴いていただくため、ソレイユ総合音楽教室2階ホールにて、9月7日(日)ピアノリサイタルを開催いたします(入場無料 30席限定)。バロックから新境地の現代作品まで、たっぷりとお楽しみいただけたらと思います。