ソレイユニュース2024年3月号
鴨川孟平君がパリ国立高等音楽院(正式名称は、パリ国立高等音楽・舞踊学校、パリ国立コンセルヴァトワールともいう)第2課程(大学院修士)に合格しました。
作曲家のフォーレ、ドビュッシー、メシアン、ブーレーズ、ピアニストの海老彰子、横山幸雄、エレーヌ・グリモー、アレクサンドル・カントロフ(敬称略)等を輩出したフランスの伝統校です。
試験は毎年2月末に行われ、春が近づいたパリに行ってきました。
第1課程(大学)、第2課程(大学院修士)共に厳しい年齢制限があり、大学は21歳までしか受験できません(修士課程は25歳まで)。それぞれ2回の受験しか認められないため、入試は真剣そのもの。
サルコジ大統領の時代、外国人枠の人数制限が始まったようで、2023年(昨年)第2課程ピアノ専攻は、外国人27名の受験者の内、合格者はわずか2名。各志願者ごとに1時間掛かる試験で、27名聴くのは辛かったのか、今年は事前の録音審査で12名に絞られました。今年の合格者は4名。狭き門です。幸い藝高時代の1年後輩も合格していて、心強いことこの上なし。
発表は日本のように印刷した紙を貼り出すのではなく、受験後、審査員と受験生が一同に集まって口頭で発表します。
発表後は審査員1人1人から講評を聴くことができ、入試の評価が分かるシステムです。
ピアノ専攻の課題曲は、例年12月頃発表になり(入試の2ヶ月前)、2024年の第2課程課題曲は、ベルクのピアノ・ソナタとリストの『3つの演奏会用練習曲』から“軽やかさ”。これ以外に各時代の曲を集めて20分のプログラムを作成するので、今年の演奏時間は35分、リサイタルの半分の量です。演奏の後、5人の審査員とのフランス語での面談があります。
フランスの音楽院の入試や試験は、外部の教授に依頼するので評価は公正なのだそう。面談では自己紹介をするように言われたり、自己紹介の内容を詳しく訊かれたのだとか。
入試後、入学までにフランス版TOEFLのような試験を受け一定のレベルに到達しなければならず、今後も語学の勉強が必要になります(第2課程は論文も提出しなければならないので、語学力は必須なのでしょう)。
発表には藝高・藝大時代の先輩後輩(ヴァイオリン・クラリネット・ピアノ)が集まってきていて、皆さん明るく「藝高◯期生、〇〇です❗」と自己紹介してくださいました。仲間が一杯で益々頼もしい❗
1日だけのフリー日に、バスティーユのオペラ座で、ベッリーニの『テンダのベアトリーチェ』を鑑賞したり、25年振りに恩師イザベル・ガルシゾンズ先生に会いに行くことができました。(先生は、今年90歳❗現役で音楽院教授を務めているそうです❗涙涙の再会でした❗)
何だかいつもせわしなく生きているけれど、思いがけなく幸せな1日を過ごすことができて、またこれから頑張れそうです。
パリ国立高等音楽院入試顛末記でした❗