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ソレイユニュース2024年10月号

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オペラ団体として有名な二期会ですが、日本一の会員数を誇る声楽家集団ということもあり、会員同士で各国の声楽曲を勉強する“研究会”という組織が結成されています。数ある二期会の研究会の中で最も古く歴史あるのがイタリア歌曲研究会です。

 

イタリアコンメンダトーレ勲章を受勲した東京藝大名誉教授 嶺貞子先生が、長年研究し歌い繋いできたイタリア歌曲を二期会の会員にも広めたいという思いで立ち上げました。

 

バロック時代のいわゆるイタリア古典歌曲と呼ばれる歌曲群から1960年代までのイタリア人作曲家により作られた歌曲を取り上げ、文学、詩、言語学、楽曲分析、歴史発声法、歌唱法等、あらゆる角度から研究勉強した、イタリア歌曲においては世界最先端の研究機関です。

 

年に数回研究会とコンサートを開催する中で、各回ごとに作曲家、詩人をトピックとして取り上げ、言語や文学は東大教授などの専門家に講義をしていただき、イタリアものを専門とする声楽家の指導を受け発表に至る―――、この手順を踏むこと40年、二期会イタリア歌曲研究会発足40年を記念し、此度、研究の成果をまとめた書籍が発行されました。

 

『イタリア歌曲の世界を徹底解剖❗イタリア歌曲の詩と音楽の魅力』(鴨川太郎・森田学編著)

 

フランス歌曲については、詩の解釈と歌唱法を記した名歌手ベルナック著『フランス歌曲の演奏と解釈』や齋藤磯雄著『フランスの詩と歌』など、フランス歌曲を歌う上での必読書が存在しましたが、意外にも声楽家にとってより身近なはずのイタリア歌曲に参考書はありませんでした。

 

これまでは、イタリア歌曲集の末尾についている訳詞を眺め、言葉の意味を調べ、参考にする歌手の歌を聴き、想像しながら歌う―――、この方法しかなかったのです。ですから、詩の解釈、時代背景と作曲家の特徴、歌唱方法等、イタリア歌曲についての知識を得てから勉強し始めることができる画期的な本の誕生ということになります。

 

イタリア語は主語の表記をしない(日本語と似ています)、発音上の理由で文字の省略が多いなど、辞書を引いても解らない表記が多い。また、これまで殆ど研究されてこなかったイタリア古典歌曲(歌曲といっても、オペラのアリアだったりする)についても詳しく記載されているところも有難い。バロック時代のオペラ作曲家についての伝記なども載っていて、読み物としても充実しています。

 

9月15日(日)、全音楽譜出版社から発売されました。

 

イタリア歌曲についての秘中の一冊、是非お手に取り、今まで知ることができなかったイタリア歌曲の秘密を紐解いてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

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