ソレイユニュース4月号
3/31(水)、銀座ヤマハで数十年後の未来にワープしてしまったような体験をしてきました。
パリ国立コンセルヴァトワール教授マリア・ホセ・ジュード女史のレッスンを、当教室出身の鴨川孟平君が遠隔で受講したのですが、パリ国立コンセルヴァトワールと銀座ヤマハのスタジオに、それぞれ配置されたヤマハのコンサートグランドが回線で繋がれていて、双方の演奏を目の前に置かれたピアノで聴くことができる、という画期的な方式でした。
パリ国立コンセルヴァトワールに、ヤマハがこのシステムの使えるピアノ(正確には機器)を搬入し、それを実際に使用して遠隔レッスンをするという試みでした。
教授がパリのピアノを弾くと、東京のスタジオのピアノが自動演奏のように無人のまま鍵盤を上下させて鳴りはじめます。東京のピアノで演奏すると、パリのピアノの鍵盤が上下して、パリのピアノを鳴らすのです。打鍵の深さのセンサーは1,000通りに細分化されていて、微妙なタッチの差もキャッチすることができます。驚くべきことにラウドペダル(音を伸ばすペダル)とソフトペダル(弱音ペダル)も対応していて、無人なのに鍵盤だけでなくペダルもパタパタ上下するのは、まるでマジックを見ているようです。
物理的な動きだけでなく、1,000通りの打鍵センサーが把握した迫力あるffから繊細なppまでの教授の音色が目の前のピアノで鳴り響くのは、大いなる驚きでした。
Zoomで、双方の映像も見ることができるようにセッティングされていたので、教授が弾く様子が手に取るように解り、リアルに隣でレッスンを受けているかのよう。何しろ音がアコースティックなので、通常の遠隔レッスンとは臨場感が違います。勿論、アドゥァイスはZoomを通して聞こえ、コミュニケーションもばっちりでした。
このシステムは、ヤマハの“ディスクラヴィア”という名称の自動ピアノ機器を回線で繋いだということでしたが、遠隔操作は実験が始まったばかりで、製品化は先になるそうです。完成が待ち望まれますね。
今回で実験3回目(1回目は、ドイツの音大入試に使用、2回目は、ニース国際アカデミーをピティナ特級入賞者が受講するという形で行われました)ということでした。
貴重な経験をさせてくださったヤマハ株式会社関係各位、ヤマハの優秀な技術者の皆様、そして的確なフランス語通訳でレッスンを助けてくださった藤木優子様には感謝しかありません。
まるでドラえもんの世界に足を踏み入れたようで、テレビを初めて見た人のごとく、大興奮の経験でした!!横で鍵盤が動く度にキャーキャー騒いでしまって、ただの邪魔者だったかもしれません。
コロナ禍での人類の叡知の象徴となる、日本の素晴らしい技術のご紹介でした!!